昨年度同様、発表者を募集しポスター・口頭発表を実施します。口頭発表会場およびポスター発表のコアタイム会場はclusterで実施します。ポスター発表のフリーインスタンスとしてVRChat会場も準備予定です。口頭発表は、LT形式での発表となります。ポスター・口頭発表の様子はそれぞれYouTube Liveでも配信予定です。
バーチャル学会2022発表概要集はこちらから
(2022/12/12発行)
10:30から開始して、下記の順にLT形式の口頭発表をしていただきます。発表の詳細は、発表番号(左列)をクリックすることで下部の詳細内容にいどうしますし、発表者名を(右列)をクリックすることでポップアップ表示でご確認いただけます。
A会場 | B会場 |
13:00~ | |
A1:VR基礎技術 | B1:医療1 |
13:30~ | |
A2:アバター1 | B2:教育(VR空間) |
14:00~ | |
A3:ソーシャルVR(技術) | B3:社会 |
14:30~ | |
A4:グラフィクス | B4:数理・アルゴリズム1 |
15:00~ | |
B5:物理・化学 |
C会場 | D会場 |
13:00~ | |
C1:VR応用技術 | D1:医療2 |
13:30~ | |
C2:アバター2 | D2:教育(体験学習) |
14:00~ | |
C3:ソーシャルVR(コミュニティ) | D3:情報 |
14:30~ | |
C4:ソーシャルVR(文化) | D4:数理・アルゴリズム2 |
15:00~ | |
C5:サイエンス・オブ・サイエンス | D5:数理・アルゴリズム3 |
A1-34: 中学生と作る伝統的工芸品メタバースの取り組み
著者:村田 知也
所属:福井工業高等専門学校
概要
ジュニアドクター育成塾の一環で、中学1年生とともに研究として、伝統的工芸品のメタバース開発を行なった。中学生は保護者協力の元、福井県の伝統的工芸品を体験、学習し、独学でUnityとClusterを勉強して、伝統的工芸品をアピールするためのメタバースを開発。その5ヶ月間の研究、開発の流れについて言及をする。また、作成したメタバースを実際にユーザに使ってもらったときのアンケート結果から、メタバースが伝統的工芸品のアピールになるかについて71%が「そう思う」と回答しており、取り組みとしては成功だったと評価する。最後に中学生にとって開発中でつまずきやすい点はどういったことかについて考察をする。
A1-53: ドローンを用いた省人力な屋外の3Dモデル作成手法の模索
著者:小辻祐一、田川和義、加藤央昌
所属:愛知工科大学
概要
本研究では,ドローンやカメラと3次元復元ソフトウェアを用いて,特にウォークスルーを目的とした現実の街並みや観光地の3Dモデル化を,できるだけ省人力で行うための方法を検討する.近年,ドローンやカメラの低価格化,オープンソースの三次元復元ソフトウェアの登場により,上記の3Dモデル化は以前より容易に行えるようになった.しかし,これらは計測対象に人が全くいない無人状態での撮影を想定しており,車や人々が行き交う状態での計測には課題が残る.また,ドローンによる空撮は広い範囲の撮影に有効であるが,屋根の下の壁など撮影が不可能な場合がある.そこで本研究では,画像加工による前処理を行うことで人や車などの映り込みを除去し,その後三次元復元ソフトウェアによる3Dモデル化を行う.また,ドローンの撮影困難な場所を地上からの撮影によって補い,ドローンによる空撮画像と合わせて復元を行う.
A2-18: 身体の分裂による自己位置の拡張
著者:近藤亮太、杉本麻樹
所属:慶應義塾大学
紹介動画:https://youtu.be/WYQ3IS0yiJs
概要
2つの生得的でない身体に対しても自分の身体のように感じる錯覚(身体所有感の錯覚)が生起し,自分が2つの場所にいるように感じられることが報告されている。しかし,この感覚は弱く,主観的な報告のみである。これは,1つの生得的な身体に対して2つの生得的でない身体が割り当てられることで,注意が入れ替わり,身体所有感が弱くなっているためだと考えた。そこで本研究では,1つの身体を左右に分裂させることで,生得的な身体と生得的でない身体の1対1の関係を保ったまま,自己位置を拡張することを目指した。その結果,参加者とアバタの運動が同期しているとき,分裂したアバタに対して通常アバタよりも弱い所有感が生起した。自己位置はアバタの分裂によって,同期性に関わらず右側にドリフトした。
A2-37: メタバース空間×演技 プロテウス効果による演技上達支援の検討
著者:寺井水希、尾関智恵
所属:尾関研究室
概要
演劇や映画ドラマ・映画の役者が行う演技は,求められているものが違う.そのため,ただ漠然として練習して も監督や演出家が考えている世界観に応えられない可能性が高い.ましてや,学芸会など演技の入門者にとって演 技は難しいだろう.近年,コロナ渦の影響で演技練習を思うようにできない状況が続いていると.そこで本研究では, 新たな演技練習として、メタバース空間内での演技練習を提案する.アバターを変更することにより,演じ対象る対象 になりきりやすくなり、監督や演出家が考えている世界観を理解しやすくなるなどの効用が得られるかを検討する予定 である.本報告ではこの検討の実施状況を速報定期報告する.
A2-52: 吃音者がバーチャル空間でアバターを纏うことで生じる効果
著者:大野凪、宮下敬宏、篠澤一彦、萩田紀博、安藤英由樹
所属:大阪芸術大学
概要
本論文は、バーチャル空間で3Dアバターを纏ってコミュニケーションをことによる吃音症状軽減効果について述べる。吃音症とは流暢に話すことが出来ない症状で,治療方法は確立されていない.一方でアバターの外見が心理状態や行動特性に影響を与えるプロテウス効果が知られている. 本研究ではバーチャル空間でアバターを用いることによって吃音症状軽減効果が得られるかについて,吃音傾向のあるユーザーが,対面で話す場合とVRChat上でお互いにアバターを纏って話す場合について比較実験を行なった.その結果,吃音の症状が軽減される効果を確認した.
A3-16: バーチャル空間内での現実の実験を用いた科学コミュニケーションを目指した、実験画像と3Dアバターによる動画の試作
著者:片柳英樹
紹介動画:https://youtu.be/aqQuvB8ISJs
概要
いわゆる自然科学「無関心層」への科学コミュニケーションの試案として、科学に触れたいという強い動機がなくても視聴できるような、気楽な科学動画コンテンツを、「メタバース」の周辺技術を応用して制作した。現実の実験の様子に、複数の3Dアバターを重ねて表示し、実験内容と、科学の解説を行う動画を公開した。同一のチャンネルに、実験の様子を音声のみで解説する動画も公開し、再生回数等で、コミュニケーションの効果を比較している。定性的感触としては、アバターを用いた動画の方が好評のようである。
A3-20: VRChat用データ分析システム「YAIBA」を用いたVRChat交流イベント改善のための定量評価
著者:LAMBsun、のりたま、こくたん、hinoride(ヒノリデ)
所属:理系集会
紹介動画:https://youtu.be/Bjt4j_8kQ2E
概要
今日の日本VRChat文化において、VRChatイベントは重要な位置を占めている。イベント運営者はイベントをよりよくしようと改善を欲しているが、判断の材料となるデータを集める方法が存在していなかった。たとえば、参加者の人流データがわかれば交流にいたるまでの時間、参加者がどうイベントを知ったかがわかれば効率的な広報を特定できる。そこで本研究では、VRChatで定量的なデータを集めるシステム『YAIBA』を開発した。YAIBAは、VRChatのワールド内で、イベント参加者の属性と人流情報の収集、およびアンケートを実施することを可能にする。我々は、YAIBAをVRChatイベント『理系集会』に適用し、イベントに関する基本的なデータを収集した。収集したデータから、イベント告知手法の効果、交流イベントに適したイベント時間と会場面積について考察した。
A3-07: 近接チャットとHMD VRによるメタバースの相違点
著者:長谷川 晶一
所属:東京工業大学
概要
本稿では、まず、オンラインのポスターセッション、懇親会、ミーティングを目的に開発した近接チャット(Proximity Chat=平面マップを持ち音声の距離減衰機能を持つビデオチャット)であるBinaural Meetの開発の背景、設計、機能を紹介する。 次にその開発と利用を繰り返しつつ、メタバース(主にVR Chat)でのコミュニケーションと比べることで気づいたことを、会話分析、相互作用実践の研究を参照しつつ説明し、メタバースでのコミュニケーションの豊かさとその分析への期待を記す。
A4-10: VR空間を用いた結晶の逆格子空間と回折像の表現の実践
著者:えぬふぇあ
概要
VR空間を用いて結晶の逆格子空間と回折像の表現のためVRChatにワールドを製作した。結晶による波の回折は固体物理学の初歩である。しかし結晶による波の回折は3次元の立体を扱う分野であるにもかかわらず、一般的にその学習の媒体は書籍やウェブページに2次元で表現されるため3次元の物体を表現することは困難だった。そこで結晶とその回折像をVR空間上に直接表現することによって3次元の立体の直感的な理解の助けとすることを目指した。この空間はVRChat上に製作した。VR空間上で表現するにあたり問題となる回折像の計算負荷を解決するためシェーダーを活用した。ポスター発表中は製作したワールド『The Diffraction』へのポータルをVRChat会場に設置する。キーワード : VR、物理学、固体物理学、Unity、VRChat
A4-19: VR空間におけるクロスニコル像再現の試み
著者:cleantted
紹介動画:https://youtu.be/GQiFG1Oti7k
概要
偏光顕微鏡観察は、物質の光学的な性質を観察・分析するために使用される観察手法の一つである。特に地質学の分野では岩石や鉱物を同定する上で欠かすことのできない、基礎的で重要な観察手段として位置づけられている。研究用途のみならず、クロスニコルでの像が非常に鮮やかであることから、一般の方が興味を持つきっかけとしてアウトリーチ活動にも活用されている例がある。しかし、偏光顕微鏡観察を体験するには様々制約が生じてしまう。そこで本発表では、偏光顕微鏡観察の体験を提供する一つの方法として、シェーディング言語(GLSL)を用いてVR空間上でのクロスニコル像の再現を試みた。その結果、単一物質が様々な方位を向いている場合のクロスニコル像を、比較的低負荷で再現することができた。さらにVRChat上でユーザーからの操作を可能にすることで、擬似的な偏光顕微鏡観察を体験できることも可能であることがわかった。今後は複数の物質に対応するなどして、より複雑な自然現象を再現することで学習効果の向上を図っていきたい。
A4-39: ニューラルネットワークを利用したマスクテクスチャの提案
著者:折登 樹
概要
3DCG によるアニメ表現では、セルシェーディングでの影領域などの色の塗り分けのマスクの生成が重要となる。本研究では各ライト方向・視点方向でのマスクのためのテクスチャをアーティストが UV 上に直接指定し、それを多層パーセプトロンのニューラルネットワークにエンコードした。ランタイムではシェーダー上でニューラルネットの評価を行うことで、カメラ角度やライト角度に応じてリアルタイムに変化する高解像度なマスクテクスチャを実現できた。
A4-48: ベクター画像レンダリングシェーダー
著者:こくたん
概要
VRで文字や模様を近くから見たときに、表面の文字が読みにくかったり模様がボケて没入感が削がれたりする経験はないだろうか?これは3D CGにおいて表面の模様(テクスチャ)をラスタ画像というピクセルの集まりで表現するのが一般的であるためである。この問題を回避するために、2D CGではベクタ画像と呼ばれる画像形式を用いることが多いが、ベクタ画像の描画アルゴリズムの多くがGPU向けでないこと・VR世界では簡単に利用可能でないこともあり、3D CGやVR世界ではあまり一般的ではない。SDFを用いたTextMeshProという方法もあるが文字に特化しており、複数色あるポスターやオブジェクトを描画することは難しい。 本研究では、頂点凸ベジェ複合曲線という概念を導入し、事前計算や凸性などを用いてベクター画像をシェーダーで効率的に描画する方法を考える。
B1-01: VR酔い・平衡障害をVRで鍛える
著者:法月ロイ
紹介動画:https://youtube.com/shorts/aOFhRLjbt9U
概要
バーチャル世界では3D酔いに始まり、より酔いやすいVR酔いに苦しむ人が少なくない。このような”酔い”は貴重な1日を潰し、時にトラウマを残し、”患者”を新しい世界・新しい体験から遠ざけてしまう。また一方で、平衡覚障害は活動性を低下させ、その結果として寝たきりを増やし、認知症を増やし、セカンドライフプランを崩壊させ、死亡率まで上昇させる。しかし、平衡障害の特徴からも、従来の平衡訓練は転倒・外傷、そして死亡の危険性を孕んでいる。さらに難儀なことに頭部外傷は認知症のリスクを上げてしまう。そこで、VRの世界で安全に平衡訓練ができないか、そして耳鼻咽喉科が専門とする平衡覚の知識をVR酔い訓練に使えないかを文献を交えて考察し、Clusterでのワールド実装を行った旨を報告する。
B1-24: HMDとVRコンテンツの利用と肌悩みに関する意識調査
著者:鈴懸リノア
所属:皮膚科学系Vtuber、理系集会、VRアカデミア
紹介動画:https://youtu.be/phaABFPwPZ0
概要
10~50代124名を対象に、Google Formsを用いてHMDとVRコンテンツの利用と肌悩みの実態調査を行った。全体の59.7%がHMDやVRコンテンツの利用を通じて肌トラブルを意識したことがあると回答した。解析対象者が自覚している肌トラブルとしては肌荒れとニキビが多く、両者についてはHMDとVRコンテンツ利用がその原因となっていると全体の40%程度が感じていた。HMDの利用法と肌悩み意識の強さの関係性について分析した結果、1回のプレイ時間が2時間以下の群と比較し、2時間以上の群では肌荒れとニキビのスコアが有意に悪化していることを見出した。本研究はより良いHMDやVRコンテンツ利用方法を考えるうえで有用な基礎情報となることが示唆された。
B1-54: VRリハビリ開発に向けた遠隔協働環境の構築
著者:松井佐耶香、加藤央昌、田川和義
所属:愛知工科大学
概要
近年,新型コロナウイルス感染症の影響により,高齢者の筋力や認知力低下が問題となっている.筋力や認知力低下は要介護の原因であるフレイルにもつながり,フレイル予防のためのリハビリ製品が開発されているが,高齢者が飽きずにリハビリを継続できるかどうかが問題になっている.本研究では,多人数がVR空間内にて楽しみながら体を動かすことができるコンテンツの実現を目指す.
B2-17: 地理教育のためのメタバースフィールドワーク
著者:飯塚 浩太郎、山内 啓之、小倉 拓郎
所属:東京大学 空間情報科学研究センター
紹介動画:https://youtu.be/c49mqN7dDRw
概要
COVID-19の予防のためにオンラインツールよる講義や学会が可能となったが、同ツールを用いた一方通行によるコミュニケーションの欠如は多くの者に不満をもたらしている。また地球科学や関連学科の重要な教育として巡検のような野外学習があるが、これもコロナの制約によって制限がかかっている。近年、没入型VRの教育への利活用が大きく加速してきており、地球科学や地理教育に関連した新しい取り組みとしても、360度画像や映像でのバーチャル巡検などが模索されているが、これらは自由な移動や他者との交流も制限され、実際の野外での教育と同等の効果を得ることは難しい。本研究は自由な移動や交流ができるメタバース巡検が可能なワールドを作成し、VR人流解析システムを用いてユーザーの位置情報を取得・解析することで、ユーザーの行動データによる時空間分布の特徴を明らかにし、地理教育に関連したメタバース巡検の可能性を探るものである。
B2-57: Strategy for the use of different metaverses for a single academic teaching activity.
著者:Christian Jonathan Angel Rueda
所属:Autonomous University of Queretaro
概要
Summary Strategies for using different metaverses for a single academic teaching activity. Explains how to use different metaverses with different forms of immersion and multi-platform connectivity for all students, in order to reach objectives and provide learning experiences in education different from those normally reached or provided by a single metaverse。
B2-60: Vtuber を用いたリモート授業の実践
著者:バーチャル理科おねえさんYUKIYA
所属:科学館/教育機関
概要
昨今コロナウイルスの流行によりリモート教育・オンライン教育の利活用のニーズは急激に高まっている。またVR の活用も様々な分野で発展の兆しを見せている。筆者は 2018 年より教育分野、特に理科分野への VR ツール、オンラインツールの活用を模索してきた。その結果、特に理科実験などの体験授業をリモートで行う場合、Vtuber(リアルタイムに演者の動作を反映するキャラクター)の活用が有効と思われたため、その実践を報告する。
B3-14: コミュニケーションロボット「LOVOT」から考える次世代メタバースのための文化基礎調査
著者:よーへん
紹介動画:https://youtu.be/ZvzQWgBa6k4
概要
家庭用コミュニケーションロボット「LOVOT」において、オーナー家族がLOVOTと暮らしていくうちにどのような心理的変化があったのか・その要因と考えられるものを質的調査によって浮かび上がらせることを目的とする。これはヒトが暮らすメタバース空間に将来はロボット達も共存するという、メタバースの多様性・ダイバーシティを実現するための文化基礎研究の一環となる。今回はLOVOTに限定したが、オーナーとロボットの間にどんな状況でどのような感情のやり取りがあったのか・それはどの技術やデザインの影響を受けているのかを明らかにすることで、ロボット達が共存する(かもしれない)次世代メタバース研究の足がかりにしたい。
B3-02: 牛乳・乳製品に対する価値観を引き出すカウンセリングワールド構築の試み
著者:尾関智恵、寺田和憲、髙木寿、上野将敬
所属:愛知工科大学工学部情報メディア学科
概要
牛乳や乳製品は,各種栄養素がバランス良く含まれた準完全栄養食品であるにも関わらず,体質的な問題や生理的嫌悪が強くなくても青年期に接種率が激減する.このように分かっていても実践できない先延ばし行動の要因調査が多く実施されているが,変容を起こす効果的な要因は不明である.本研究では,牛乳の嗜好(プリファレンス)を調査した上で,意識や態度を変容しうる要因を探索・検討する.この結果をもとに構築したメタバースワールド内でアバターを纏い自身のアピアランスを変更することによって,牛乳を積極的に摂るなどのプロテウス効果による変容を促せるか実験的に検討する予定である.本発表ではその途中経過を報告する.
B3-26: 日本における木材価格の高騰と今後の課題
著者:おびす
概要
コロナショックが始まった時、木材の輸入価格は平均して160%、国内では140%まで上昇し、ウッドジョックと呼ばれる木材の供給量が足りず、価格高騰が起こった。前提として、国産材の需給率は20$301C30%ほどしか占めておらず外国の輸入に頼っているのが日本の現状であった。そこに新型コロナウイルスの蔓延によって、コンテナ準備や検疫の人数確保できないことによる遅延、アメリカや中国の金融緩和によっての住宅需要が上がり輸出量の低下、ロシアのウクライナ侵攻によってロシア産の木材の輸入禁止等の原因があり、ウッドショックが発生した。 今回調査した原因について考察し、ウッドショックが起こった条件や対策等を発表する。
B3-61: メタバースを活用したサイエンスコミュニケーション拡張への試み
著者:宮田 和樹、籏 栄美、川口 眞里奈、小笠 原雄太、高橋 大河、堀 友美
所属:青山学院大学総合文化政策学部デジタルストーリーテリングラボ
紹介動画:https://youtu.be/TmFP1sqV_TU
概要
2022年11月~12月にかけて、予備調査とクラウドファンディングを実施する「三宅島クジラ鼻水プロジェクト」を事例に、メタバースのワールドを活用したサイエンスコミュニケーションの事例について紹介する。日本近海を回遊するザトウクジラが近年、沖縄諸島や小笠原諸島から、三宅島などの伊豆諸島に北上しており、地球温暖化の影響が指摘されている。本プロジェクトでは沿岸を回遊する個体のブロウ(鼻水)をドローンで採取し、個体識別などの研究の基盤整備を目指すものだが、現地調査と並行して、ザトウクジラの生態を観察・体験できるワールドも作成し、試験的に市民に提供していく。ザトウクジラの生態を没入感の高い空間で体験することで、プロジェクトの意義の理解や、研究支援の意向が高まるかを、クラウドファンディングの成果や、ワールド体験者へのアンケート調査で検証していくことで、今後のサイエンスコミュニケーションにメタバースが積極的に活用されていく環境づくりの一助としたい。
B4-27: 複雑なネットワークにひそむ進化の系統樹を探るための組合せ論
著者:早水桃子
所属:早稲田大学理工学術院
紹介動画:https://youtu.be/nWrW5kCAwIM
概要
「系統樹」は生物たちが共通の祖先からどのように分岐してきたかという進化史を記述する最も基本的なモデルだが,現実のデータは一つの樹形図で説明できるほど単純ではないため,系統樹を一般化した「系統ネットワーク」を活用して生物の進化史を推定するような新しい方法論が必要とされている.本発表では,その数理情報基盤の構築に向けた発表者自身の近年の研究成果として,複雑な系統ネットワークの内部に多数含まれる系統樹の数え上げ問題,列挙問題,最適化問題といった諸問題を統一的に取り扱うことを可能にし,各計算問題に対する高速アルゴリズムを導いて組合せ論的系統学の複数の未解決問題を解決した「系統ネットワークの構造定理」を紹介する.(※本稿は,日本数学会2022年度秋季総合分科会 応用数学分科会で発表者が行った特別講演のアブストラクトを抜粋・編集したものである.)
B4-30: 横断歩道における歩行者対向流の組合せ論的考察
著者:村田悠、前橋拓歩、村松秀晃、中山真吾、金子祐輔、小嶋大瑛、久田竜也、渡邉慶大、早水桃子
所属:早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 数学応用数理専攻
紹介動画:https://youtu.be/loomiS0-JoE
概要
横断歩道の歩行者対向流は将棋の局面と同様に離散的にモデル化できる。実社会と異なり歩行者は後退や横歩きをしないという仮定を導入すると、群衆が衝突して横断歩道の途中で膠着状態に陥る場合がある。本発表では衝突・膠着状態に陥る局面の特徴づけについて、現在進行中の取り組みを紹介する。
B4-99: Spin における「360°回転 = -1倍」が VRを用いた4次元可視化で出現する現象について
著者:アイシア=ソリッド
所属:株式会社アトラエ
概要
量子力学におけるスピンは、360°回転させても元に戻らず、全体が-1倍になる不思議な性質がある。実験の事実を見ればそれが真実らしいことに疑いの余地はないが、その直感離れした挙動は全ての初学者に壁として立ちはだかっている。本研究では、この「360°回転で-1倍になる」現象が、4次元物体のVR可視化において自然に立ち現れること、また、これが4元数、3次元スピン群Spin(3)、4次元スピン群Spin(4)との深い関係が背後にあることを明らかにした。数学的議論は標準的でだが、360°回転させると-1倍になる物体を自然に実現したことに本研究の意義がある。また、実際に目で見て触れるものとして実装されていることが最大の貢献であると考えられる。360°回転すると-1倍になる物体を実際に触れ、手に取ることで、身体的な感覚を持つことができれば、スピンの学習の最大の障壁の除去になるかもしれない。
B5-04: バーチャルリアリティ空間におけるマクロレベル摩擦シミュレーションの試行
著者:hinoride(ヒノリデ)
所属:VRC理系集会
紹介動画:https://youtu.be/kkoWsde50P8
概要
物体の摩擦メカニズムを明らかにするために、分子動力学法による摩擦シミュレーションが数多く報告されている。それらの報告によれば示唆に富む結果が得られているものもあるが、それらは分子レベルの大きさで極短時間のシミュレーションである。摩擦メカニズム解明のためにはより大規模な(マクロレベルでの)大きさ・時間のシミュレーションが必要である。しかし現状、マクロレベル摩擦シミュレーションに関する報告は調べた限りでは無い。そこで本研究では、バーチャルリアリティ空間におけるマクロレベル摩擦シミュレーションの試行を目的とする。まずバーチャルリアリティ空間で摩擦シミュレーションを行うために、その空間に摩擦の概念を導入した(パラメータ調整なし)。その後、様々な物体をすべらせた結果から、バーチャルリアリティ空間では主に凝着が支配的であり、さらにパラメータ調整によって現実の摩擦を再現できる可能性があると考察した。
B5-46: 安価なコーヒー焙煎機の制作と風味の検証
著者:memship
概要
近年、コロナ禍の巣ごもり需要の増大に伴い、趣味でコーヒーの焙煎をする人が増えている。しかし、自宅での焙煎の多くは予算の都合上銀杏煎りやアルミ鍋などを用いて焙煎する場合が多く、温度計等が無いために高価な焙煎機に比べ安定した焙煎を行うことが困難である。そこで、安価かつ安定した焙煎を実現するために、鍋に熱電対を取り付け、豆の温度を取得できるようにした。制作した焙煎機を用いて焙煎時間と温度を計測し、煎り分けた場合コーヒーの風味に明確な違いがあるのか、同じような温度変化で煎った場合ある同じような風味を再現することができるのかを、焙煎の温度変化の過程別に検証する。
C1-31: メタバース・インプロ(即興劇)ワークショップの有効性と課題
著者:YB
概要
インプロとは「即興」という意味の英語“improvisation”を訳した言葉で台本のない即興演劇に由来する 「即興表現プログラム」のことである.インプロはアイデア出し等何もないところから何かを創造する「クリエイティビティ機能」、「即興力強化機能」、「コミュニケーション機能」、「チームビルディング機能」等ビジネスに関連する機能が検証されており、筆者のこれまでの研究でその効果がzoom等のWeb会議システムで行うオンライン・インプロ(以降、オンライン)にも及ぶ事を検証している.今回そのインプロの機能がメタバース上のワークショップでも検証可能かの実験を行った.そして、 他のインプロでは得られない体験や価値を提供できる「メタバース・インプロ」というインプロの新ジャンルを確立させるために、今後どのような改善を行っていけばインプロの各機能の効果をオンラインと同レベルに向上させることができるかの考察を行った.
C1-40: 美術鑑賞におけるVRの活用と観覧者の美術への関心に与える効果に関する調査
著者:齊藤大将、植村友哉
概要
「Survey the use of VR in art and its effect on viewers' interest in art / 美術鑑賞におけるVRの活用と観覧者の美術への関心に与える効果に関する調査」VRChatやその他のメタバースで、美術の展示会や美術館のイベントを開催してきた中、参加者の美術に関する関心がどのように変化したかをGoogle Formと直接アンケート形式で調査した。VRをはじめとしたテクノロジーは、情報の構築と普及、および意味の創造における文化的仲介のための重要なシステムとして浮上している。近年の美術館の訪問者数の減少、日本人のアートへの関心の薄さなどを踏まえ、美術鑑賞にVRを活用することで美術に関わる新たなきっかけを作り、その裾野を広げることが期待される。
C1-58: 自宅でも遭難がしたい!
著者:土鍋、朱雀匠、にと、HiEN、HAMADA、すず、louis、tatsumi
所属:会津大学
紹介動画:https://youtu.be/O2wQF7NvoAk
概要
この作品はIVRC出展作品です.山での遭難者がここ二十年増加傾向にあることをご存じだろうか.1つの原因は,高齢の登山者が自身の体力低下に気づかないことだ.もう1つの原因は,近い・低いという油断による不十分な計画や服装・装備での登山だ.本体験では,このような実際に登山をしないと気づけない身体の変化や危険を伝える.リュック型タンクや水冷ベスト,HMD等により夜の山で起こる寒さ,暗さ等の遭難の原因になりうる自然現象や疲労感を再現し,理解してもらうことがだ.またゲームとしての側面もあり,積極的に体験をしてもらうことで体験者の増加も目的としている.
C2-13: 「メタバース3Dプリント計画」のための技術開発状況
著者:そむにうむ@森山
所属:トイメディアデザイン
概要
メタバース時代と言われる今、メタバース内のアバターモデルを3Dプリンターで出力して取り出すサービスは普及していないのが現状である.特に「メタバース上でのアバターをその姿のまま立体化する」という発想は技術的にも困難なため実現はされていない。本稿ではこの発想を具体化するために「ボクセル変換処理」をゲーム開発環境Unityで動作させ検証を続けてきた。その結果、処理を具体的に実装するための技術的なアプローチや処理時間の短縮を実現し、目標達成直前まで近づいたため「メタバース3Dプリント計画」を掲げるに至った。その現状を報告するとともにメタバース時代の3Dプリントサービス事業の概要について説明する。
C2-38: 自動車好き・そうでない人向けのオンラインアンケート調査におけるグラフィカルエージェントの存在が回答者に及ぼす影響
著者:ヤナギハラ、尾関智恵
所属:尾関研究室
概要
アンケート調査は多数の対象者から情報を収集しやすい一方,その人自身も言語化できていないインサイト情報が収集しにくい.これに対し,インタビュー調査ではインサイト情報をその人の状態に寄り添って引き出すことができるが収集できる人数が限られる.そこで,多くの人からインサイト情報を引き出す方法を検討する.今回は,興味ある無しがはっきり出やすい題材として車好きとそれほどでもない人からデータ収集をする際に,社会的な他者の力を借りるインタビュー手法の再現を目指したグラフィカルエージェントをオンラインアンケートの場面で用いることで,インサイト情報を引き出せるかを実験的に検討する.
C2-45: 人見知りサポートARグラスの開発
著者:山本剛瑠、尾関友恵
所属:愛知工科大学情報メディア学科尾関研究室
概要
人と人のコミュニケーションは,技術の進歩により対面からネットに変化し始めた.しかし,仕事等の影響で実際に顔を合わせながらコミュニケーションは無くなることがないため,人見知りの方だと初対面相手と話し合いは大変である.本研究では,人見知りの人のためのコミュニケーションを補助できるARシステムを構築・使用した影響を調査する.本発表ではその途中経過を報告する.
C3-29: VRSNS上で技術者コミュニティを作る試み
著者:慕狼ゆに
所属:エンジニア作業飲み集会
紹介動画:https://youtu.be/JED5Qy2pmOc
概要
技術者コミュニティに参加して様々なエンジニアと交流したり知見を共有し合う活動は、エンジニアのスキルアップに役に立つ活動である。技術者コミュニティの新たな形を作る試みとして、VR空間上でエンジニアが集まる交流会を開催し、コミュニティ作りに取り組んだ。本発表では、VRChat上で開催した「エンジニア作業飲み集会」について取り組んだ施策や課題について考察をする。
C3-36: ソーシャルVR-SNSにおける哲学カフェの実践 ーVRChatは哲学カフェに適しているのか?ー
著者:DOVETY/ディー
概要
哲学カフェはアクティブラーニングの方法として注目されている活動であり、サイエンスカフェの原型にもなった。ソーシャルVRサービスの1つであるVRChatでは社会的地位、見た目、年齢などの実社会の価値観との相対化が進み、より包括的な観点に基づいた対話に適した場となる可能性がある。本発表ではVRChatで開催されている哲学カフェ(哲学カフェオルタ)を調査し、これが哲学カフェに適した特徴を備えるか対面・ビデオ通話と比較を通じて検討する。
C3-06: VRChatにおける株式情報自動更新RPAシステムの開発
著者:TAK1123、same0609
概要
金融・株式投資リテラシー向上と個人株式投資家間のネットワーク形成をめざし、筆者は「VRC株式投資座談会」というイベントをVRChat上にて企画運営している。しかしながら運営リソースが限られているため低頻度開催(隔週開催)にせざるをえず、イベントを介しての個人投資家間のネットワーク形成に課題を抱えていた。前述課題を解決するため、毎日更新されるオンラインコンテンツを提供することにより、金融・株式投資に興味をもっている個人投資家が当イベントを介さずとも自然に集まり、良好な関係構築が促進され、ひいてはさらなる金融・株式投資リテラシーの向上につながると筆者は考えた。よって、筆者は前述のオンラインコンテンツとして、指数系チャート(日経225,米国S&P500など) ・ 東証上場銘柄騰落率ランキング等の情報を毎日自動的にVRChat上に流し込むシステムを開発したので下記にて報告する。
C4-22: 「お砂糖」に対する言語的考察
著者:紅林アオ
概要
ソーシャルVRコミュニケーションにおける「お砂糖」という単語について、感覚的・言語学的観点からアンケート調査を行い結果から傾向を調査・考察したもの
C4-28: メタバースでのハラスメント
著者:バーチャル美少女ねむ、Liudmila Bredikhina
所属:VTuber研究ユニット「Nem x Mila」
概要
メタバースでのハラスメントの実態を明らかにするため、全世界のソーシャルVRユーザーを対象に実施した大規模調査を実施した。 対象はVR HMDを用いて直近1年以内に5回以上ソーシャルVRを利用した英語・日本語話者。日本・北米・ヨーロッパを中心とした876件のデータを集計し分析した(全60ページ超のフルレポートを無償公開中)。
C4-50: コミュニケーション行為としての『お砂糖』
著者:中尾優奈(さくらまゆ)
所属:一橋大学大学院社会学研究科博士課程
紹介動画:https://youtu.be/oLBd8sCq940
概要
VRChatを中心に、ソーシャルVR文化には「お砂糖」というものがある。一般的に、お砂糖とはVR空間上でアバターを介した当事者同士の「特別な関係」と見なされる。またお砂糖は、ジェンダー論において、ポリアモリー・同性愛など、後期近代において拡張された恋愛概念の一部として捉えられがちである。本発表での問題提起は、果たして『お砂糖』とは本当に近代的恋愛の派生なのか、それとも新規性のあるコミュニケーション類型なのかであり、さらに『お砂糖』とは何かを仮説構築的に考察することである。結果として、近代的恋愛において不可欠な『消費社会への従属』『片務性』という側面がお砂糖には欠けており、また「バーチャル美少女」同士のコミュニケーションがお砂糖において重要であるといえた。
C4-09: ソーシャルVRにおける「お砂糖」に関する調査
著者:Utoki、てんしん
紹介動画:https://youtu.be/dqtf9YOTPhs
概要
本研究は、ソーシャル VR の日本語文化圏に存在する「お砂糖」について、その実態を明らかにするため、セクシュアリティの観点から調査を行ったものである。調査は Google Forms を使用して行い、分析の結果、以下の 3 点が明らかになった。 ①ソーシャル VR には、物理現実に比べ、性自認および性的指向におけるマイノリティが高い割合で存在する。 ②「お砂糖」は、相手に望む見た目や生物学的性において、物理現実の恋愛とは異なる要素を持ち、物理現実の恋 愛よりも相手の見た目の性や生物学的性を重視しない傾向がある。 ③性自認によって、「お砂糖」に関する考え方に違いが見られ、男性は女性よりも「お砂糖」相手に異性の見た目を望 み、女性は男性よりも「お砂糖」相手に異性の生物学的性を望む傾向がある。
C5-21: 人々が文系と理系を分ける基準は何か
著者:がくまるい
紹介動画:https://youtu.be/ZzB9EzHCcc4
概要
学問は文系と理系に区別され「文系だから理系はわからない」など断絶の意識が生じることも多い。学問への理解を深めるには、なぜ・どう区別しているのか知り伝える必要がある。本研究は学問史・教育史を先行研究に基づき文献を補い整理し、学問を二分してきた主な軸が何かを考察した。結果、①教養か実学か、②扱うのは人間か自然か、③科学か否か、④進路分化のための教育制度上の区分、以上4点が軸と考察した。どの軸を重視するかは立場で異なり、どの軸にも曖昧な領域は存在することを歴史と共に知ることが学問理解への一助となる。
C5-03: 書誌情報を利用したVR関連分野における異分野融合等の動向分析
著者:Kuroly
所属:VRC理系集会
紹介動画:https://youtu.be/DuMOuDKx4x4
概要
文化・商品としての「VR」が様々な切り口で分析されることは多い一方で、科学技術としての切り口で分析されることは少ない。本研究では、Web of Scienceの全世界論文データベースを使用し、著者の所属機関や分野タグ等を使用したVR関連分野の国際共著、異分野融合の状況を時系列的に分析した。その結果、国際共著の状況については、米国-中国間で最も多く、その他の国においても、米国との共著を行っている国が多いことが分かった。また、異分野融合の状況については、Computer Science及びEngineering分野での発表が最も多く、次いでPsychology, Neuroscience & Neurology、Education & Educatinal Researchの分野における発表が多いこと、そして異分野融合研究数については全体の約52.0%を占め、VR関連分野においては、過半数の研究において異分野融合が進んでいることが分かった。
C5-43: VR研究者ネットワークの分析
著者:きゅーしす
概要
近年, xR技術が発展してきてメタバースが勃興しており, 研究開発が盛んになっている. xR研究の発展のメカニズムの理解は政府や企業の研究開発の資金配分や研究者の研究戦略において求められている. 研究のメカニズムを調査するときに研究論文の共著関係をネットワークとして捉えてネットワーク分析がよく行われているが, xR関連の研究開発に特化した調査は十分とはいえない. 本研究ではElsevier 社の提供するScopusデータベースを用いてxRの一分野であるVRに関して共著関係ネットワークを構築して分析した. 共著関係ネットワークは共著関係のネットワークは非連結であるものの, スモールワールド性が示唆された. 次数分布は自己相似性が示唆され, べき乗則に従っており, 共著関係はスケールフリーネットワークであると考えられる. PageRankを用いて著名な研究者を抽出し, h-indexから妥当性を確認した.
D1-23: 医学生に対する血管内治療用VRシミュレータの有用性
著者:三谷英範、宮路憲太郎、本田有紀子
所属:広島大学 放射線診断科
概要
我々の開発した血管内治療のVRシミュレータ (HiVR) の有用性の検証。 方法:2022年4月から9月までに血管内治療の実習をした学生22人を対象とした。ランダムにHiVR群(13名)と従来群(9名)に分け、模擬患者に対する手技の手技時間、造影剤量、透視時間、患者最大皮膚線量を比べた。なお、模擬患者には VIST G5 (Mentice社)を使用した。 結果:HiVR群 vs. 従来群で、手技時間11.9 vs. 14.1分(p = 0.17), 造影剤量32.1 vs.41.5 ml (p = 0.08), 透視時間 9.7 vs.11.2分 (p = 0.19), 患者最大皮膚線量 282.8 vs.383.0mGy (p = 0.04), 専門医による評価点数 36 vs.31(p < 0.01) であった。 結論:HiVRは初学者の被爆線量の短縮や手技向上に期待される。
D1-42: 肢体不自由の身体障がい者のための娯楽に関する VR活用方法の模索
著者:秋山悠、齊藤大将、秋山昊
所属:情報経営イノベーション専門職大学
概要
現実では障がいによって様々な活動に制約を受ける肢体不自由の方に、VRヘッドセットを活用して新たな娯楽を提案することが出来るのではないかと考えた。そこで、肢体不自由の方がVRヘッドセットを活用する際に適した「姿勢」と「コンテンツ」を明らかにするという目的で、肢体不自由の対象者がVRヘッドセットを使用してVRのコンテンツを楽しむ補助と、その観察を行った。観察の結果、当研究の対象者がVRヘッドセットを使用する際に適した姿勢は「体育座りに近い姿勢で抱きかかえられた状態」、適したコンテンツは「風景・観光系」であると考えられる。当研究を通して「姿勢」と「コンテンツ」以外にも肢体不自由の方がVRヘッドセットを使用する際に直面する問題が浮き彫りになったため、今後はVRヘッドセット使用者の酔いの測定方法や既存のVRヘッドセットの問題点等の詳細な研究を行っていきたい。
D1-05: バーチャル診察練習ソフト 「VR OSCE」
著者:佐伯 勇
所属:広島大学病院
概要
広島大学では文部科学省の「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の補助金を使用して、株式会社ビーライズ社の協力のもとで、VR( Virtual Reality)を利用した医療面接・診察の練習ソフト、VR OSCEの開発を行った(OSCEは客観的臨床能力試験: Objective Structured Clinical Examinationの略)。コロナ禍で医学生の診察技能を向上させるための対人教育が難しい中、VR OSCEではVR空間で様々な模擬患者の問診及び身体診察を行うことで、実際の診察室に極めて近い状況下で医療面接及び診察を体験できる。VRでは実際の触診を体感することはできないが、通常では経験が難しい実際の異常心音や呼吸音などを体験できるという利点がある。新たな患者の入力も可能であることから、医学教育の授業教材として使用する際にも高い教育効果が期待される。今後は、広島大学を含めた複数の医学部においてVR OSCEを使用した実習を行い、その効果を検証していく予定である。
D2-15: 初等中等教育におけるVRSNS活用の保護者意識調査と課題検討
著者:バーチャル探究学者 Lumin、NAYU
所属:一般社団法人インパクトラボ
紹介動画:https://youtu.be/FR_3Al5L_4Q
概要
GIGAスクール構想の環境整備などが全国で進む中、既にICT環境の整備が完了した学校では新たなICT技術の取組に力を注いでいる。一例として、N高等学校を筆頭に、各校でVRを活用した教育手法の提案や行事への利用など、実証事例が増加している。筆者らは立命館守山中学校・高等学校にて、生徒らから出てきたVRの利活用アイデアの実現支援や、実証補助を行っている。そこで本稿では、当該中学校・高等学校の卒業生と在学生との取組「メタモリ」にて、在校生・受験生保護者を対象としたVRSNSの意識調査、及び教育現場でのVRSNSの実務課題から、STEAM教育の一例として、VRSNSを教育現場に導入する上での課題を整理することを目的とする。
D2-33: バーチャル空間を用いた電気回路体験学習コンテンツの試作
著者:中村 月威、中泉 文孝
概要
電気回路などの抽象的概念が中心となる学習にとって,電圧や電流などの物理的な状態を肉眼で捉え,肌で感じることは難しく学習者にとって理解しにくいものである.本研究の目的は,VR技術を用いて目に見えない電圧や電流などの物理現象を自身が電子になって体験することで,現実空間のみで学習することが困難であった知識や概念をより分かりやすく理解できるように学習支援することである.
D2-44: VR技術を用いた基礎生物実験手技向上化の構想
著者:まるちゃん
所属:まるちゃんラボ
概要
生物系の研究を行うにあたり、グリーンベンチ内での正確な操作を習得することは重要である。正確性のない手技は、コンタミネーションを誘発するだけでなく、実験データのばらつきにも繋がる。再現性を取得できないデータは確かな研究結果として使用することができないことから、正確な操作を身に付ける必要性は高い。多くの学生は研究室の1-2年間で手技取得・実験・卒業研究論文執筆を行い、院試や就活など極めてタイトなスケジュールである。早急かつ一定レベルの手技習得方法は研究室担当指導教員・学生の両面から求められる。本発表では、生物系の研究室配属学生及び教員の課題として、グリーンベンチ内での無菌実験操作をVR技術によって疑似的に再現する教材の設計開発とモックアップ化・プロトタイプ化実験による課題について報告する。
D3-25: ワールドレコメンドAI 「ルポ」 のいるワールド
著者:みっつ、せみくじら、かまぼこ子
所属:SciKaleido、Project RUPO
概要
メタバースプラットフォームclusterにおけるワールド推薦システムを、ワールドとして公開した。ユーザーはワールド内で自らの好みに関する選択を行うことで、おすすめのワールドを発見することができる。2022年2月までの期間に「#今週の人気ワールド」としてピックアップされた212のワールドについて「明るさ」「広さ」などを含む計9種の情報を数値化しデータセットを作成した。このデータセットについて教師なし分類を実施し、得られた分類結果を用いてワールドを10個のクラスに分け、この結果を各ワールドのラベルとした。ラベル付きデータセットを用いて、ワールド分類システムを構築した。clusterのワールドとして実装するため、アルゴリズムの内部を説明可能で、演算処理が比較的簡潔である決定木を学習モデルとして採用した。作成したモデルをもとに計2つのワールドを制作した。発表では、ワールドの分類、予測モデル構築、ならびに制作したワールドについて解説する。また、今後の展望についても言及する。
D3-32: 分散型メタバースのためのユーザー座標に基づいたピュア型P2Pの接続最適化
著者:田中 勇気、行天 啓二、大城 英裕、高見 利也
所属:大分大学大学院 工学研究科 知能情報システム工学コース
概要
多くのメタバースサービスは中央集権的な構成であり、サービスの規約、終了は独断で決定可能である。また、サーバの障害によって、全体に影響を及ぼすため、ユーザーは安心して利用できない状態である。そこで、分散型メタバースを実現する必要があると考える。本研究では、ピュア型P2Pの構成におけるユーザーの座標同期に着目し、近接ユーザーの探索を行い接続を最適化するアルゴリズムを提案する。評価においては、アルゴリズムを適用したシミュレーションを行い、新規接続からの近接ユーザーの探索にかかる送受信回数と、移動時において、近接ユーザーとの接続を維持できる接続数、送受信頻度を求め、実用的であるか確認する。
D3-51: 承認型会議の文字起こしデータからの議事録自動作成
著者:SKA
所属:VRアカデミア
紹介動画:https://youtu.be/YpFFB-tr4j0
概要
多くの企業や団体において議事録が作成されている。情報共有や記録等の利点がある反面、議事録作成の作業コストが問題視されている。近年、音声認識の精度が向上したことを受け、会議の文字起こしを行うサービスが出現しているが、求められているのは文字起こしではなく、会議の内容のまとめである。そこで、テンプレート当てはめ式の抽出型要約を用いることで、大量の会議のデータを用いずに、承認型会議の文字起こしデータから議事録を自動的に作成する手法を提案した。評価実験を行ったところ、提案した手法を実装したシステムが出力した議事録を基に、人間が少し修正すれば議事録ができるといった、たたき台として活用可能な性能に達した。また、議事録作成にかかる時間も人手で作成した場合の半分に短縮できることが示唆された。
D3-08: VRChat上へ自律機械知能を実装する手法の提案
著者:GesonAnko
所属:仙台高等専門学校
概要
昨今の機械学習および深層学習の発展は留まるところを見せない。Computer Vision、音声合成・認識、自然言語処理、深層強化学習とった数々の領域で目覚ましい進歩を遂げている。強力なモデルが登場しさまざまなベンチマークタスクにおいて人間を上回る性能を見せている。 しかし、私たち人類が空想上に思い描く人工知能とはこういった何かタスクをとき、ベンチマークによって定量的に評価できるようなものではない。私たちと同質のより生物的なAIである。Yann LeCun はそういった生物的なAIを自律機械知能と呼ぶ。 本論文ではその自律機械知能を実装しVRChat上で学習させるための最小限の手法を提案した。そしてそこから予想される知能の振る舞いおよび手法の課題について考察した。
D4-11: 数学記号と論理式を用いた人工言語の作成可能性の検証
著者:enetto
概要
漢字はその一文字で単語として使えるものもあるが、複数の漢字を組み合わせることで熟語になる性質を持っている。一方で数学記号はその一文字で意味を表すことができ、数字と組み合わせてしばしば使われる。もし、数学記号を漢字のように組み合わせられれば熟語を作ることが可能ではないだろうか。そこで、漢字の熟語ルール[1]を使用して数学記号のみで熟語が作れるか検証した。また、文章構成として論理式 [2]を採用し、数学記号を用いた文章を作成できるか検証した。その結果、いくつかの熟語と文章の作成に成功した。しかし、今回採用したルールを適用できなかった熟語が見つかった。その理由としてルールの設定条件の不足などが考えられる。今後は使える熟語を増やす、そして未検証の文法でも文章が成立するか検討する。
D4-35: 距離行列から系統カクタスグラフを構成する単純かつ高速なアルゴリズム
著者:渡邉慶大、金子祐輔、河井雪野、中山真吾、村松秀晃、小嶋大瑛、久田竜也、早水桃子
所属:早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 数学応用数理専攻
紹介動画:https://youtu.be/Nj-X7407mTM
概要
生物の進化の過程は,系統樹という木グラフで表現されることが多く,生物間の非類似度を表す距離行列から木グラフを構成するNeighbor-Joiningアルゴリズムは広く使われている.ところが実際の生物の進化過程では分岐だけでなく,異種交雑や遺伝子の水平伝播などが起こるため,木グラフ以外の記述方法が重要である.そこでHayamizuら(2020)は系統樹と木距離を一般化した系統カクタスとカクタス距離を提案し,n点集合上のカクタス距離から系統カクタスを構築する問題はO(n^3)時間で解けることを示した.本発表ではカクタス距離から系統カクタスを構築する単純なO(n^3)時間アルゴリズムを紹介する.
D4-41: 木の数え上げに現れる特殊な分割数 ~再帰式と母関数およびその近似式~
著者:小嶋大瑛、早水桃子
所属:早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 数学応用数理専攻
紹介動画:https://youtu.be/oAwTiiyAGTI
概要
一般のラベル無し根付き木の数え上げ問題は解析的組合せ論の手法によって長く研究されており、解析接続を用いた近似式などが知られている。その一方で、総数を初等的な方法によって厳密に計算できる特殊な木のクラスも存在する。本講演では、自然数の非反復分割を利用して初等的に数え上げられることが知られるfinely bounded treesという木グラフに着目し、「自然数nを指定の個数に非反復分割する場合の数」という分割数の亜種を考え、その再帰式と母関数の閉じた式を導出するとともに、nが十分大きい状況における近似式を与える。
D5-12: VR空間における複素関数の可視化
著者:えなじ~
概要
複素関数を扱う分野である複素解析学は、数学理論として重要であるだけでなく、他分野への応用という点でも重要である。しかし、複素関数は入出力がともに$2$次元ベクトルであるという点でイメージしづらく、学習上の障壁となっていると思われる。本研究では、複素関数をVR空間内で可視化し、複素積分をユーザーが経路を指定して計算できるシステムを構築した。
D5-47: 美少女場の量子論--現代的美少女像の数理的記述体系の構築をめざして
著者:ソーサツ・チエカ
紹介動画:https://youtu.be/GKbh-66X00c
概要
美少女表象は現代の文化領域の全般に浸透しており、その範囲はフィクションのキャラクターに留まらない。VRアバターに典型的であるように、美少女は鑑賞の対象となるだけでなく自己像としても機能するようになった。拡張を続ける美少女の概念を的確に理解するためには、美少女の性質を記述する新しい体系が必要である。特に、人間の性別との結びつきを本質的なものとしない理論が求められる。本発表では、物理学の場の量子論のアナロジーを用いて、美少女の無性的な側面を記述する。まず、情報がしばしば美少女の形で擬人化されるという事実から始めて、物語と美少女の二重性を導入し、美少女の伝播を表現する方程式を導いた。続いて美少女場を多体系へと拡張し、物語からの美少女の生成消滅を定式化した。最後にFeynman図によって美少女同士の相互作用を表現した。この体系により、人間の性役割の模倣でない形で美少女現象を記述できる。
D5-49: 距離行列からグラフを構築するアルゴリズムを用いた鳥の飛行スタイルの予測
著者:久田 竜也、河井 雪野、前橋 拓歩、早水 桃子
所属:早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 数学応用数理専攻
紹介動画:https://youtu.be/Eki7SuL3-24
概要
鳥の飛行には,翼の上下運動により飛行するはばたき型と,風を利用し飛行するソアリング型の2種類のスタイルが存在する.どちらの飛行スタイルをとるかは鳥の種類ごとに決まっているが,はばたき型とソアリング型の違いを生み出した要因はまだ十分に解明されていない.そこで我々は,鳥類の形態や生態などの公開データセットを用いて様々な鳥同士の非類似度(距離)を計算し,その距離行列から飛行スタイルを予測する課題に取り組んだ.本発表では,進化の系統解析において生物間の非類似度を表す距離行列からグラフを構築するために使われる手法の1つであるNeighbor-Joiningアルゴリズムを用いて鳥の飛行スタイルの予測を行い,現在までに得られた結果を報告する.本研究は,塩見こずえ氏(東北大学)との共同研究である.